保護猫との出会い方は様々です。
一緒に過ごしていたら、1匹の猫にいくつもの物語が生まれる。
ねこしなでは、保護猫とのエピソードを中心にご紹介していきます。
よかったら、保護猫を飼う際の参考にしてくださいね。
保護される猫は様々です。
毛並みが綺麗な子もいれば泥まみれになっている子もいる。
とっても元気な子もいれば、病気を抱えている子もいる。
元々飼い猫だった子もいれば、元々野良猫だった子もいて。
人懐っこい子もいれば、威嚇しまくる子もいる。
保護された環境や育ってきた環境によって、1匹1匹違います。
そんな中であなたはどの子を引き取ろうと思いますか?どんなことが決め手になりますか?
今回お話するのは皮膚真菌症に感染していた猫を引き取ったお話。
あなたは飼い主さんの気持ちに共感できますか?
キレイな猫よりも「一生懸命生きている猫」
今回お話を伺ったのは、“あお太くん”の飼い主さん。
今年で9歳のオス猫くんです。
あお太くんを保護するに至るまでのエピソードを現在の飼い主さんにお伺いしました。
「あお太はNPOから引き取った猫なんですけど、最初出会った時には真菌症を抱えていて。すっごく汚かったんですよ。」
と、飼い主さんは当時の出会いを話してくれました。
出会いはあお太くんが生後2か月の頃。
飼い主さんの家では既に1匹の猫を飼っていました。
しかし、その飼い猫を一人ぼっちにしてしまう時間が長いことから、家族を増やしてあげようと考えました。
そして訪れたNPOの保護猫団体。
そこはたくさんの猫で溢れていました。
中でも一番目を引いたのが、小さくて汚い子猫。
一目で皮膚に疾患があることがわかるほど、症状が進行している状態でした。
しかし、その子猫を見た時から、飼い主さんは目を離せなくなったと言います。
「施設にはホントにたくさんの猫ちゃんがいたんですけど、中でも一番目を引いたのがあお太で。
見た目で『え!?』って思うほど汚かったんですよ。
でもそこで考えたんですよね。
『私たちが引き取りたい子ってどんな子?』って。」
おそらく、普通の家庭では病気もなく、見た目も可愛くて、キレイな猫を選ばれます。
最初からハンディキャップを背負っている猫を可愛がってあげられる自信がない人もいるでしょう。
それなのになぜ、あえてあお太くんを選ばれたのか。
理由を改めて飼い主さんにお伺いしました。
「私たちがわざわざ“保護猫団体から”猫を引き取ろうと考えた理由は、
『亡くなる運命にある命を救いたいから』だったんですよね。
その点あお太は病気を抱えながらも一生懸命生きていて。
そしてたくさんいる猫の中でも一番にゃーにゃー鳴いていたんですよね。
人間慣れはしていないけど、威嚇もしなくて、ちゃんとコミュニケーションは取れる子でした。
なのでこの子を引き取ろうと思ったんです。」
病気の猫を引き取るとなると、お金の面でも手間の面でも相当な覚悟が必要です。
しかし、それでもあお太くんを引き取ることを選んだ飼い主さん。
ここからがあお太くんとの生活のスタートでした。
引き取ってもまた捨ててしまう保護者がいる現実
いざ、あお太くんを引き取ろうとした時。
その団体のスタッフさんから何度も「本当に大丈夫ですか?」と確認されたそうです。
よくよく話を聞いてみると、引き取ったはいいものの、やっぱり育てられずに野に放ってしまう飼い主さんが多くいるのだとか。
保護する時にはいい顔をしていても、実際飼うとなると予想外のことは起こってくるもの。
ただでさえ病気を抱えているあお太くんを、ちゃんと最後まで面倒を見切れるのか。
保護猫団体からしたら守りたい命なので、そこを重点的に聞かれたそうです。
しかし、そこで飼い主さんは自信をもって言い切りました。
「大丈夫です。責任をもってこの子を育てます。」と。
こうしてあお太くんを引き取り、現在に至ります。
今となっては真菌症も完治し、病気もなく、元気に過ごしているようです。
「これから猫を飼いたいと思っている方に何か伝えたいことはありますか?」
と、私からの問いかけに、飼い主さんは
「NPO団体も様々です。
保護猫団体さんを選ぶ基準として、
- 猫の数や育っている環境
- 命に対しての考え方
- 電話口での言葉遣い
を意識して選ぶといいと思います。
猫を引き取るということは、一生涯その命を育てるということ。
なので、決して途中で投げ出さない覚悟で臨んでほしいですね。」
と話してくれました。
「亡くなる運命の命を救いたい」
猫を初めて飼う場合だとなかなかにハードルが高いのかもしれません。
ですが、一人でも多くの人がこの認識をもって、猫との出会いを探してほしいと思います。
取材させていただいた飼い主さん、ありがとうございました♡
取材協力